設立趣意書

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(2011年1月26日 草案公開)

第三の開国が叫ばれて久しい。

にもかかわらず日本政府の動きは鈍い。とりわけマスメディアは旧態依然のシステムを維持することで、自ら停滞を選択したままである。世界でも類をみない記者クラブシステムは、もはや制度疲労をきたしている。それどころか、いまや日本の成長戦略の妨げとさえなっている。
2009 年 9 月、外務省と金融庁から始まった「政府の公的な記者会見のオープン化」も、いまだ道半ばである。いまなお国民が持つ「知る権利」「情報公開」「公正な報道」などの権利は、奪われ続けている。

日本社会がアンシャンレジームの既得権益に絡め取られている間にも、世界は変化している。インターネットを媒体とした“第四の波”ともいうべき情報通信、とりわけマイクロメディアの津波は、チュニジアで政権をなぎ倒し、エジプトなどのアラブ諸国、さらには全世界をも飲み込もうとしている。2010 年には、イラン、タイ、モルドバでツイッターによるデモが発生し、米国や英国でも、選挙結果を左右する役割をソーシャルメディアが果たした。
そうした情報通信革命は間違いなく日本にも押し寄せている。

尖閣ビデオの投稿先にはユーチューブが選ばれた。ウィキリークスは東京の米大使館の大量の公電を公表しはじめた。ツイッターはすでに日本人の 10 人に一人以上が利用し、ユーストリームは小沢一郎氏の記者会見をライブで伝えるほとんど唯一の媒体になっている。ビデオニュース・ドットコムは首相を生出演させることに成功し、ニコニコ動画の政治コンテンツには多くのユーザーが殺到している。

第一の開国である明治維新、第二の開国である戦後日本の再生は、ともに社会構造の抜本的な変革から達成した「革命」であった。
そうした変化こそが“開国”であるならば、現在、世界中で発生しているソーシャルメディア革命こそ、まさしく第三の開国というべきものである。
本来、政府の公的な記者会見への参加は一部メディアに限定されるべきものではなく、取材・報道を目的としたすべてのジャーナリスト等に幅広く開放されるべきものである。報道の多様性と自由な取材機会を保障することは、民主主義国家であれば当然に認められる権利である。
これは日本新聞協会(記者クラブ)の声明「記者クラブに関する日本新聞協会編集委員会の見解」にも合致した考え方であり、政府・国民が共有すべき見解である。

私たちは、こうした観点から、政府等の公的な記者会見を独占的に占有し、同業他社を排除しているすべての「記者クラブ」に、公正な運用と良識ある対応を求める。

時代は変わろうとしている。
私たちは国民の求める「知る権利」「情報公開」「公正な報道」に完全に同意し、それらを達成するための“場”を作ることを宣言する。
ジャーナリスト(編集者/カメラマン)であるならば、誰もが公平な取材機会に恵まれ、多様な価値観で報道し、国民の知る権利に応える。そうした切磋琢磨の”場”を提供することこそが、当協会の設立目的である。

世界中で普通に行なわれている政府の公的な記者会見の開放こそが、まさしく第三の開国の第一歩であり、日本の民主主義の発展に寄与すると確信している。

「自由報道協会」設立準備会暫定代表 上杉隆

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