特定秘密保護法案に反対します。
政府はこの臨時国会で「特定秘密の保護に関する法律案」の可決・成立をめざしています。私たち公益社団法人自由報道協会はこの法律の制定に強く反対します。
そもそもわが日本は「報道の自由度」が極めて低い国です。毎年5月3日の「世界報道の自由の日」に発表される「報道の自由度ランキング」でも、22位から53位へと急落しています(2013年度)。これは、自由主義、民主主義を標榜する国としては恥ずかしい限りです。政府がまずやるべきことは、秘密をつくり、保全することではなく、行政情報を適切に保存・管理し、広く国民に開示することです。
私たち自由報道協会は、取材・報道に携わるすべてのジャーナリストに対して公平な取材機会を提供するために活動をしています。情報への公平なアクセス権の保障を図ることで、多様な言論の確保と自由な情報流通の実現を目指しています。そうした活動を通じて、国民の知る権利の向上や国際相互理解の促進に寄与したいと考えています。
しかしながらこの法律は、そうした私たちの理念を真っ向から否定するだけでなく、憲法が規定する国民主権の原則さえ否定する構造になっています。
そもそも民主主義の根幹は、主権者である国民が政府(国家)の持つ情報を最大限に閲覧・活用し、政府の適否を判断する権利を有していることにあります。しかし実際には、「由らしむべし、知らしむべからず」の言葉に象徴されるように、為政者は自らの保有する情報をできるだけ国民に知られないようにする傾向にあり、それがジャーナリズムとのせめぎ合いの「原点」になっています。
国会に提出されている法案では、行政府が勝手に秘密を特定し、司法からも立法からもチェックされない仕組みになっています。もちろんジャーナリズムが立ち入ることもできません。秘密とされる範囲も広く、何が秘密とされたかもわかりません。さらに、先進国ならどこでにでもある秘密解除規定が甘く、ひとたび秘密に指定されると永遠に開示されない恐れもあります。法案には「国民の知る権利の保障に資する報道又は取材の自由に十分配慮しなければならない」という規定もありますが、もともと憲法で保障されている権利を行政府が「配慮する」というところが、この法律の本質を表していると考えます。
健全な民主主義社会の形成には健全なジャーナリズムの存在が不可欠なことはいまさら言うまでもありません。そんな誰にでもわかる民主主義の基本の「キ」を否定する法律であることが明らかです。私たちは強く強く反対します。
公益社団法人 自由報道協会