第10回 、第11回日本ジャーナリスト協会賞ノミネート作品決定

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2022.06.06

第10回、第11回日本ジャーナリスト協会賞概要

第10回、第11回日本ジャーナリスト協会賞ノミネート作品が決定しました。
同賞は2012年1月27日に弊会の設立1周年を機に、すべてのジャーナリストを対象にしたジャーナリズム賞として創設したものです。
今回は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、延期になっていた第10回とあわせての開催になります。

公募と選考委員による推薦を経て、以下の作品がノミネートされました。
大賞作品は外部選考委員による最終審査と皆様からの投票をもとに決定させていただきます。
結果はHP上にて発表、その後授賞式を開催する予定です。

■対象作品■

第10回 2020年1月1日から2020年12月31日までの期間に取材、報道、評論活動などを行い、ジャーナリズムの信用と権威を高めた作品。
第11回 2021年1月1日から2021年12月31日までの期間に取材、報道、評論活動などを行い、ジャーナリズムの信用と権威を高めた作品。

■投票方法■

【受付期間】2022年6月7日(火)〜2022年7月5日(火)
上記期間中にoffice@j-aj.jp宛にメールをお送りください。

※タイトル(件名)に「大賞候補作品」と明記し、本文に作品名と簡単な推薦理由をお書き添えください。複数応募可、同一作品へのご投票は一票までとさせていただきます。

【審査方法】外部選考委員による最終審査とあわせて選考を行います。

投票する

■開催概要■

主催:公益社団法人 日本ジャーナリスト協会
運営:公益社団法人 日本ジャーナリスト協会
趣旨:公益社団法人 日本ジャーナリスト協会 定款に基づき取材、報道あるいは評論活動などを通じて、ジャーナリストとして顕著な業績をあげ、ジャーナリズムの信用と権威を高めた作品を顕彰するものです。
選考:日本ジャーナリスト協会役員、運営委員を中心とする選考委員会
表彰:大賞授賞を予定しております。

■ノミネート作品及び推薦者のコメント■

【第10回日本ジャーナリスト協会賞ノミネート作品】

上西充子「国会をみよう 国会パブリックビューイングの試み」(集英社クリエイティブ)
審議中の国会の映像を街頭に持ち込み、スクリーンに投影。傍らで自らマイクを握り、ライブ解説を加えて、国会で起きていることを道行く人に知らせる。著者はこの「国会パブリックビューイング」を考案、実践してきた。既存の政党や労働団体と組まない独自の手法は広く注目された。著者は論点ずらしの代名詞にもなった「ご飯論法」の考案者でもある。小さいが新しいメディア「国会パブリックビューイング」の1年間の活動記録は後々まで参照される価値をたたえている。

春名幹男「ロッキード疑獄 角栄ヲ葬リ巨悪ヲ逃ス」(角川書店)
戦後最大の疑獄事件として現在に至るも議論の絶えない「ロッキード事件」。インテリジェンスに精通した著者は米国立公文書館、ニクソン・フォード各大統領図書館、CIA、日本側資料、日米関係者らを取材・調査。「巨悪」の正体に迫る。首相の犯罪が繰り返される構造にまで言及した本書はロッキード報道における一つの金字塔といえる。

渡辺将人「メディアが動かすアメリカー民主政治とジャーナリズム」(ちくま新書)
米国のメディアと選挙に精通する著者が描き出すメディア大国の実像。テレビやラジオ、新聞、映画、ネット。種々のメデイアはいかに米国の政治を動かし、政治によって動かされてきたのか。テレビニュースの舞台裏、トランプ大統領を生んだリアリティテレビ、FOXニュースに潜入したスパイ、鋭い政治風刺を繰り広げるコメディアンたち、そして大統領選の行方をも左右する移民メディアなどを通じ、等身大の米国が浮き彫りになる。その像は日本を考える上でまたとないヒントをたくさん与えてくれる。

想田和弘監督「精神0」
今作に先行する映画「精神」(2008年)はベルリン国際映画祭をはじめ世界で絶賛された。主要な被写体の一人・山本昌知医師が、82歳にして突然「引退」。山本の原理原則は「病気ではなく人を看る」「本人の話に耳を傾ける」「人薬(ひとぐすり)」にある。岡山のクリニックでさまざまな理由から生きにくさを抱えた人々が孤独を感じることなく地域で暮らしていける方法を長年模索し続けてきた。彼を慕い、「生命線」のようにして生きてきた患者たちはどうなるのか。山本が引退してまで向き合おうとしたのは妻・芳子さんと二人の新しい生活。地域での精神医療に人生を捧げた医師が妻の介護に携わる後半生を描き、地域や精神医療、職業、夫婦について考えさせられる。

圡方宏史監督「さよならテレビ」
テレビの凋落が喧伝されるようになって久しい。今や「マスゴミ」と揶揄される存在の筆頭。今、テレビで、何が起きているのか?「ヤクザと憲法」を世に送り出した東海テレビのクルーが自社の報道部にカメラを向けた。同局開局60周年記念番組「さよならテレビ」に新たなシーンを加えて映画化した作品。自らを裸にしていくかのような企画は取材当初から局内に軋轢を生む。「身を切る」ような取材と番組作りは地方限定放送にも関わらず大きな反響を呼んだ。同局が手掛けた一連のドキュメンタリー作品の極北に位置する一作。

【第11回日本ジャーナリスト協会賞ノミネート作品】

角南圭祐『ヘイトスピーチと対抗報道』(集英社新書)
2016年の「ヘイトスピーチ解消法」施行以後、過激なヘイトスピーチデモは減少していった。一方でネット上での差別発言はいまだ幅をきかせている。背景には「官製ヘイト」や歴史修正主義がある点を見逃してはならない。著者は「共同通信ヘイト問題取材班」としてヘイトスピーチデモの現場で取材を重ねてきた。メディアはそれとどのように向き合ってきたのかを検証する。日韓の戦後補償問題を長年追い続けてきた著者だからこそ鳥の目と虫の目、両方の視点からのアプローチが可能となった。著者が鳴らし続けている警鐘は残念ながら今でも有効なものだ。

毎日新聞取材班「ヤングケアラー介護する子供たち」(毎日新聞出版)
第25回新聞労連ジャーナリズム大賞・優秀賞を受賞した毎日新聞連載「ヤングケアラー 幼き介護」の書籍化。それまでほとんど知られていなかった若者による、家族の介護の実態。取材班の報道をきっかけに自治体が調査を開始。ついには国が動き出した。ヤングケアラーの多くは思春期にあたり、ケア(介護や世話)の内容は家事、身体的な介助、見守り、情緒面のサポートなど多岐にわたる。彼らは成人した介護者と違ってまだ社会経験が乏しく、年相応以上の責任や役割を課されてしまった場合、学校生活や心身の健康に悪影響が生じ、遅刻や欠席、成績の低下や友人関係に支障が出ることも少なくないとされる。確実に存在しているはずのヤングケアラーは社会の陰に埋もれ、多くの人々の目に入らない「透明な存在」だった。誰も顧みなかった対象に事実をもって光を当てる。ジャーナリズムの原点を見る思いがした。

弘中惇一郎『生涯弁護人 事件ファイル1 村木厚子 小澤一郎 鈴木宗男 三浦和義・・・・・・』(講談社)
日本の戦後刑事司法史に残る大事件を数多く手がけてきた弁護士・弘中惇一郎。「絶対有罪」の窮地から幾度となく無罪判決を勝ち取ってきたことから、「無罪請負人」とも呼ばれる。著者は歴史的な裁判をどのように闘ってきたのか。受任の経緯から、鉄壁といわれる特捜検察の立証を突き崩した緻密な検証と巧みな法廷戦術、そして裁判の過程で繰り広げられるスリリングな人間ドラマまでが綴られる。戦後の裏面史であると同時に比類のない法曹人の「頭の中身」が覗ける一冊でもあり、触発された。

キム・ミレ監督「狼をさがして」
1974年8月30日、東京・丸の内の三菱重工本社ビルで時限爆弾が爆発。8人の死者と約380人の負傷者が出た。事件から1カ月後、犯人から声明文が出される。「東アジア反日武装戦線“狼”」と名乗る組織は爆破を「日帝の侵略企業・植民者に対する攻撃である」と宣言。その後、別働隊「大地の牙」と「さそり」が現れ、翌年5月までの間に旧財閥系企業や大手ゼネコンを標的とした「連続企業爆破事件」が続いた。75年5月19日、「東アジア反日武装戦線」一斉逮捕が大々的に報じられた。彼らの素顔が会社員としてごく普通に市民生活を送る20代半ばの若者たちだったという事実は驚きを持って迎えられた。凄惨な爆破事件が記録や記憶に残る一方、彼らが何を考え、何を変えようとしたのかは知られていない。00年代初頭、釜ヶ崎で日雇い労働者を撮影していた韓国のキム・ミレ監督は東アジア反日武装戦線の存在を知り、その思想を辿るドキュメントを撮り始める。高度経済成長のど真ん中で狼は何に抗っていたのか。未解決の戦後史が突きつける問題は全く色褪せていない。

 

2022年6月6日
公益社団法人日本ジャーナリスト協会 アワード選考委員会

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